田畑政治さんのこと
あるの指揮者を務めておられた故・田畑政治さん*1とは、何度か一緒に歌わせていただいたことがありました。とにかく明るくて、優しくて、暖かい方でしたが、ひとたび音楽と向き合う時にはひたむきな意志*2を感じさせる方でもありました。
「二月から十一月への愛のうた」の中の「九月のうた」は、寺嶋先生が田畑さんの追悼演奏会(2000年9月)のために書き下ろしたものだそうです。今日の演奏会でも、この曲には(無伴奏のためピアノについているだけの寺嶋先生からも含めて)特別な感情が注がれているのが強く感じられました。
あなたに伝えることができるのなら
それは悲しみではありはしない
鶏頭が風にゆれるのを
黙ってみている
あなたの横で泣けるのなら
それは悲しみではありはしない
(谷川俊太郎「九月のうた」より抜粋)