人事諸制度に関する視点

 人事・総務に関する各種制度はペイロール系(給与・賞与/退職金/福利制度等の直接間接に従業員へ金銭的供与を行うもの)と、非ペイロール系(それ以外)とに分類できると考えます。

 ペイロール関係については人件費支出に直結するものであり、経営的視点に基づいた慎重な制度設計が求められます。具体的には評価制度に対する従業員の信頼感と、企業の業績変動への柔軟な対応の両立が一義的な要件と考えます。現在の産業界は実力主義成果主義という中長期的なトレンドのもと、MBO(Management By Objective=目標管理)等評価制度の導入から業績連動型賞与、さらにはベアゼロ・定期昇給の廃止等の従来は抵抗の強かった給賞与支払いの仕組みの改革へと踏み込んでいますが、この流れは前述の要件を満たすものであって一定の評価ができ、原則的にはこれに沿った制度改革を今後も行うべきと考えております。

 非ペイロール関係は各種勤務制度から教育・人材育成まで多岐に及びますが、基本的には従業員のモチベーション向上を期待できる内容となるよう強く意識されるべきと思われます。特に若年層では、(私自身もそうですが)自己のあり方の「多様性」を重要視する傾向が強く、制度構築にあたっても、従来の企業がとりがちであったともすれば「個人の事情」を軽視する姿勢は慎まれるべきと考えます。具体的には自己申告制度、社内FA制度、コース選択制度等、従業員の側から「こうありたい」という意思表示をする場を確保することが肝要であり、これを会社の利益と繋げることを可能にする制度が求められます。

 また特にシステム関連業種について考えると、従業員の最大の関心事は自分自身の「スキル」を仕事の成果、及び処遇面でのリターンに結び付けられるかどうかであり、これを別の側面から見ると、業務内外に関わらずスキルアップの機会を多く与えられることが最大のモチベーション向上策と思われます。しかし一般に行われている資格取得の認定・奨励等では十分ではなく、従業員個人がどのような業務経験を積んでおり、どんな能力を保持しているか、また実際に「何ができるか」の全社的管理、つまり「スキルの可視化」が労使双方にとって重要であると考えます。

わかったようでわからないような、わたしらしい文章。