いい人です。きっと
春は、大卒採用のシーズンです。
思えば、私も何年か前にはこの会社を受けたんだった。
人生はかくも流転するモノだ。
といっても、自分の受けた採用試験は事務屋さん選考のための
ものであるから、ちょっと、いやかなり事情が異なる。
私の、今のお仕事はエンジニアの卵たる理系学生に
我が職場のことを知ってもらって、かつ選考のための
お膳立てをすることである。
ここで重要なのは、我が職場というのが某公共放送の
国民的人気ドキュメンタリーである「プロジェクトX」の
ネタになりそうな(っつうか、なった)男のロマンを
かなりくすぐる類のことをビジネスにしているところであって、
しかも毎年たくさんの新入社員を補充しなければいけないほどの
規模はなく、かつ近年はすこぶるもうかっていないという
事実であった。
つまり、人気が高く入社希望の学生は多いにもかかわらず
(しかも社会見学気分で必ずしも質は良くない)
採用予定数は少ない、超のつく買い手市場での採用業務運営を
迫られるのである。
よりどりみどりで企業側に有利な状況とも言えるが、
私にとっては、面接すれど面接すれど金の卵(=内定候補)には
出会えず、手数のかかるわりには仕事上の業績には
あんまり繋がらないとゆー、まことに切ない時期を過ごした。
しかも、分母が大きく分子が小さいってことは、
それだけ上にあげず自分のところでフィルタリングせにゃならん数が
増えるというわけで、このご時世、職に困るなんてのは
あまり珍しいことではないにせよ「あいつに落とされたぁ」という
実績が増えてしまうということであって、その中に
危険な情動を持つ人がいないとも限らんではないですか。
正直、今年は名刺も配らず匿名で仕事しようかと思ったくらいである。
いやさ、できれば顔も伏せさせていただきたい。
学生の皆さん、そんな事情ですから。
就活の時に会社の人間が名乗らなくても、偽名を使ったとしても
たとえザ・グレート・サスケかなんかの覆面を被っていたとしても
許してあげてください。そいつは仕事に若干のミスマッチを感じている
ちょっとナイーブな感じのいい人に違いありませんので。
本当にやったら怪しさ爆発ですけどね。当たり前か。