トップダウンか、ボトムアップか

よく「ピラミッド型の組織」「フラットな組織」といった表現がされる。前者は意思決定に時間がかかり硬直的、後者は権限委譲がしやすく柔軟、意思決定のスピードも上がると言われる。
実のところ、「ピラミッド型の組織」では確かにトップと現場の相互理解において困難さはあるものの、各個人ないしセクションが持つ裁量の範囲での判断はむしろスムーズに行えるから、日常困ることは少ない(トップが引っ張り出されるような「事件」が起こった時は別)し、組織の運営はその姿から受けるイメージと違い、ボトムアップの色合いを濃くする。
他方「フラットな組織」では、権限の大きなトップと現場の距離が余りにも近すぎ、時としてトップが自身のイメージと合わない具申を片っ端から突き返す「もぐらたたき」の日常を繰り広げる。そうした組織では早晩、トップダウン以外では何も決められない風土が根付く。
ライブドアの堀江元社長は、社内でやり取りされる電子メールのCCに社長のアドレスを入れるよう義務付けていた*1とのこと。全てに目を通し少なからずコメントを返していたというから見上げたものだが、規模が急拡大し経営が多角化する局面ではむしろ独善に近いものと受け止められていたのではないか。
組織の姿はともかく、強力なリーダーシップでの統率、あるいは現場オリエンテッドな集団行動のどちらが最適かは、いま直面する課題の質に大きく依存する。

*1:辞める直前までやってたかどうかは、知らんけど。