青色LED訴訟和解、中村教授に8億4400万円

和解条項では、同社が中村修二教授に計6億857万円の発明の対価を支払う。支払額は遅延損害金(利息)を含め8億4391万円で、発明の対価をめぐり企業が支払う金額としては、「味の素」が人工甘味料の製法を開発した元社員に支払った和解金の1億5000万円を上回り、国内で史上最高額となる。
   和解に伴い東京高裁が示した見解によると、6億円余の対価は、中村教授が日亜化学工業社員時代に行ったすべての職務発明を評価した金額。1審判決は青色LEDの発明に対する中村教授の貢献度を50%と評価して200億円の支払いを命じたが、同高裁は「発明の対価は、企業が厳しい競争の中で発展していくことを可能とするものであるべきだ」と指摘した。そのうえで、これらの発明に対する会社側の貢献度を95%として、大幅に減額した。

正直8億でもトンデモな金額と思うのだが、1審の200億などという驚天動地の判決から比べるとまだしもまともな和解条件と言えるだろう。
「対価」とされる6億余の金額は、中村氏の要求に沿って在職中の全ての職務発明を評価し、さらにそれらが全て企業(日亜化学)に帰属することを確認したうえで支払われる。また和解の過程で、金額について企業活動の連続性を最大限考慮して定めるべきであることを裁判所に認めさせた。これによって水準はともかく*1、考え方として社会通念上じゅうぶん受け入れられる和解となった。
中村氏は「これで日本が技術者にとって魅力に乏しい国であることがはっきりした。若くて才能のある技術者には米国に来るようどんどん勧めていこうと思う」といった類のことを言っているようだが、その台詞に共感するエンジニアは打って出てもらって構わないのだと思える。報酬としてはローリターンかもしれないけれども、リスクをしっかりと肩代わりし長い目で多くの技術者にチャンスを与える日本企業の技術育成システムに大きな欠陥はなく、これからもたくさんの果実を実らせるであろうから。

*1:しつこいようだが8億でも払い過ぎ。何度でも言うがローリスク(従業員)に対してはローリターンであるべきだ(id:yose:20040224#p2)。百億、一千億の単位で稼ぎたい人はリスクを取って出資者を募り自ら会社を起こして事業化に励んでもろたらええねん。