「亡国の判決」を考える

日亜化学事件、亡国の判決から考える〜「分配」「配分」の観点から考えよう〜

今回の判決は、会社・株主まで含めたあらゆる関係者のうち、発明者ひとりに得られた利益の50%を分配すべきというものです。これはまことにもって均衡を欠いた判断であり、これでは失敗のリスクを取って優れた研究者に出資しようという投資家が適正なリターンを得ることができません。結果として新技術への投資が進まず、わが国の科学技術創造立国にも悪影響を与えかねないと懸念されます。これひとつをとってみても、今回の判決は「亡国の判決」と呼ぶべき暴挙といえるでしょう。
「病気療養中」として活動を一時中断されていた労務屋氏(id:roumuyaさん)が復活。期待に応えて日亜化学事件の「仰天判決」をバッサリ斬ってくれた。

常識も非常識も超えた「200億」判決


id:yose:20040204
# yose 『ローリスク(従業員)に対しては、ローリターンであるべき。でないとハイリスク(その企業に投資している投資家など)を負っている人たちに対して著しく不公平です。』
# yose 『この判決では想定利益×50%という算式が用いられましたが、これが従業員に対する報酬の求め方として根本的に間違っていると思います。』
# yose 『僕なら(発明者の年収)×0.01〜50といった報奨金制度を作って会社に貢献した人に報いると思います...あああ、人事という仕事に毒されているなぁ(笑』

私の意見もこんな感じで、労務屋氏に付け加えるべきところは何もない。ただし、今回の判決が特許法35条3項に定める「発明の相当対価」に照らし「間違っている」とは決め付け難いものがあり、ゆえに「判決」のみを批判するのは得策ではないと感じる。他の従業員はもとより株主・地域社会・取引先といった別のステークホルダーの存在を明らかにし、それらへの適切な配分にも充分に配慮した法律へと改めるべき、という立法論的なアプローチこそが求められると思う<って思うなら自分でやれ<お前には無理。