SARS

会社が台湾とお付き合いがありまして、常時2〜3名程度が出張しています今も。人がいないと仕事にならないってことで、顧客から強く要請されては残らざるを得ないのです。
日系企業のリスク対策の意識は近年特に高まっており、何かあると社内Webなどを使って全社で情報を共有し、渡航自粛や現地社員引き上げの措置を迅速に指示します。しかし米同時多発テロの時もイラク戦争の時も「日本人は少しのことですぐ引き上げる。韓国人や中国人やインド人は平然と仕事をしているのに」なんて言われてしまい、その度に本国では顧客の要求と社員からの不安・不満の声との板挟みになり苦しむのでした。今回のSARS渦でも、そうした光景が当然再現されています。
SARSでやっかいなのは、ご存知の通り強い感染力と中途半端な潜伏期間です。それらは危険地域から帰ってきた社員に悲喜劇的状況をもたらします。
10日程度の観察期間が過ぎるまでは出社することもできず、当然家に帰ることもできないのでホテル等に宿泊することになりますが、だまってビジネスホテル等に宿泊し万が一のことがあっては会社の信用にかかわる。従って事前に「台湾からの帰国者が2週間ほど宿泊しますが構いませんか?」とお伺いを立てるのですが、それ聞いて受け入れるホテルがそうそうある訳がない。特に地方では消毒等のノウハウがなく、自宅から遠く離れた大都市のホテルでさびしく過ごすことになるのです。
そこへもってきて台湾人キャリアの国内行脚発覚。今まで渋々受け入れていた宿泊先も一気に態度を硬化させたため、苦肉の策として「妻子をホテルに宿泊させ、自分は自宅で待機」という案までもが浮上、その是非が真剣に検討されています。
まったく、ホントに、ひどい話です。