念じてれば通じる?

なーんとなく、ぼややーんとテレビでアテネ五輪を見ている人は多いと思うが、ある新聞記事が目をひいた。野球代表、ダイエーの城島選手の言葉である。

「プロである以上、野球を精神論では語りたくないと思っているが(後略)」 

これ、至言だと思うのだ。そのまま、芸術音楽にあてはめたい。 僕は常々、クラシック音楽を精神論で語って欲しくないと思っている。城島選手が「プロである以上」と言っていることを裏返すと、アマチュアにはまだ、精神論が許されるかもしれない。というよりも、語れる技術論が無い、ということになるだろう。僕だって、とてもとても、技術論だけで音楽を語れる器ではない。それはわかっているのだけれど、それでもなお、可能な限り、精神論は忌避したいと思うのだ。日本のアマチュアの音楽愛好家は、音楽を精神論で語りすぎていると、平素から感じているし、残念ながら演奏を批評する人やコンクールを審査する人までが、精神論でしか語れないような現状もなくはない。

全ての音楽は、技術を通してその空間に送り出されなければならない、と思う。ただ強い感情を抱くことで表現したような気になってはいけない。