イラク邦人拉致事件

自業自得?それはどこまでの範囲がそうなんだ?夜の繁華街を歩いていて刺されたら、「夜の繁華街が危ないのはわかっているのに歩いた方が悪い、自業自得だ」とでも言うのか? さらには、「自作自演説」まであるらしい。その可能性は、そりゃあゼロではないさ。でも、現段階でそのようなことを言って何になる?自作自演じゃなかったら、どうするんだ?助けた後に言えばいい、その様な事は。 おかしい。このごろのイラクを巡る出来事は、あまりにもおかしすぎる。

夜の繁華街が「人が刺されて当たり前の場所」だとまではとても言えないけれども、イラクが「命を落として当たり前の場所」だということは随分前から繰り返しアナウンスされている。
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/spot_list.asp?id=045
もし「自業自得」度合いなどというものを測るとするなら、今回はそれがかなり高いケースだったと言われても仕方がないだろう。

ただ政府は、政府の一部門が危険だとアナウンスしている地域に向かった人だから、と言って自国民の安全確保を怠るようなことがあってはならない。国家の存在意義はいろいろあるだろうが、自国民の生命の安全を保障し利益を確保するのが最低限の機能なので。

逆に言うと、紛争地域や地球の裏側にまで自国民に対する安全保障サービスをデリバリーする能力を備えているのは、国家だけ。「自分にはそんなサービス必要ない」と胸を張って言える人だけが、今回の被害者を「自己責任だ」と罵っていい。

つまり、自己責任原則を突き詰めていくと「小さな政府」や国家不要論へ繋がる。過度に国家へ依存しないというひとつの方向性であって、支持するしないは別として理解はできる。私がどうにも理解しがたいのは、普段から国家の個人への干渉について不快感を表明していながら、何かコトがあると真っ先に国や政府の責任を問うてしまうような、ちょっと自分に甘すぎるんじゃないかと思えるような人達のこと、なのである。