しあわせのかたち

どんなことを「幸せ」だと感じるかは、人それぞれだと思うのですが。
かつて自分が「幸せ」だと感じた場面を回想してみると、総じてそれらは「こんな体験は普通の人にはできないだろう」という状態であった場合が多いように思います。多少の努力をしてなにか特別なものをかちとったとき、あるいは思いがけず幸運な境遇に放り込まれたときなどに、大なり小なりの「優越感」を伴ってはじめて「幸せ」だと自覚していたような。
しかし昨日、我が子を抱いて家に帰ってきたときの「幸せ」には、今までのものとはちょっと違う、どこかスペシャルでない、普遍的なものが感じられたように思うのです。「刹那、胸を熱くする」というのではなくて、あたたかみがじわっと訪れるような感じ。じわっと。
正直なところ、子供ができる(生まれる)という世間的に見ればごくありふれたことから自分がいったいどれだけの「幸福感」を得られるだろう、などと罰当たりなことを考えたりもしていたのです。実際に遭遇したそれは確かにありふれていて、でも十分に「特別」で、他者との比較優劣なんて考えが入り込む隙のないほど満たされていて、自分史上かつてないほどしっかりとした「幸せ」でした。