私が歌うわけは...何だっけ。

かつて作曲家・青島広志氏は言いました。「アマ合唱人は何故あんなに打ち上げが好きなのか。プロはステージが終わる度にいちいち飲みになんか行かない」と。
プロの合唱団員ないし声楽家が全く打ち上げをやらないわけでもないと思うが、アマチュア合唱人が音楽界一般、あるいは世間一般の水準に照らしてもかなりの程度「打ち上げ好き」であることは認めないといけないだろう。
何度か合唱団員としてオーケストラと共演したことがあるけれども、幕が下り楽屋に引き上げた後オケの人達は楽器の手入れなんかしながら穏やかに演奏を振り返っているのに、隣の楽屋では合唱団員が早速盛り上がってガハガハ笑っちゃっているのが常だった。ある時などは合唱団の楽屋にだけ缶ビールとおつまみが用意されていて、「あぁ・・・そーいうもんだと思われちゃってんだなぁ・・・」と恥ずかしく思ったこともあった。周りは歓声をあげていたけど。
いいステージを終えたあとの一杯に格別の喜びが存在するのは自分も良く知っているし、上述のせんせぇの様に「いちいち飲むなよ」なんて野暮なことを言うつもりは全くない。ただ、私にとってアルコールは生きる目的ではないし、同様に歌うことも人生を豊かにする手段であってやはり目的とはなり得ない。だから合唱団のホームページなんかを見ていて「練習後の一杯を楽しむために歌っています」とか「ステージは大事。打ち上げはもっと大事」なんていう記述に出会うと「あんたらは何を思って音楽をやっているのか」っつうか「何のために生きているのか」と問いたくなってしまうのです。