musicalinthedark

ダンサー・イン・ザ・ダーク見ました。ビデオで。

遅ればせながら。





私は気が小さいので、怖い話とか悲しい物語は、避けます。

避け切れないと、日常生活に支障をきたします。





「リング」「らせん」観た後、しばらくテレビが怖かった。いやホントに。



ちなみに、いま一番観ておきたい映画は「ピンポン」です。

これなら安心。

(公開とっくに終わってしまいましたが・・・)





「ダンサー・・・」も、超ド級の悲劇だと聞いていたので

スペック(ビョーク主演・音楽+カンヌ映画祭パルムドール)的には

興味深々だったのに、逃げまくってました。

公開から2年経ってようやく心構えができたので。





で、すげぇ面白かったです。

救いようがないくらい悲しくて、重いですが。





ビョーク演じる盲目の女性;セルマは、息子の手術代を稼ぐため

つつましい日々を送るが、その唯一の楽しみが

ミュージカルの稽古だった。

時に彼女はひとり、空想の世界で踊り、歌う。

稽古中にも、辛い仕事の合間にも。そして死の間際も。


ひとつ思ったのは、この作品は「ミュージカル(映画)」に対する

アンチテーゼなんじゃないかということです。





光を失ってゆくセルマの暗闇(the dark)の内側で繰り広げられる音楽劇は

幻想的で、歪んでて、曖昧で、それでいて凄くリアルなんですよ。



何故ならそれは虚構だから。



セルマの魂が紡ぎ出す虚構とするのが必然である、とシナリオが明確に指図し、

演者(兼音楽担当)と演出家とが、それを完璧に表現し尽くしとるわけですわ。





翻ってみると、ウエスト・サイド・ストーリーにしても

サウンド・オブ・ミュージックにしても、唐突に踊り歌い出すじゃないですか。





醒めるっつーの。





ShowBizの世界でのミュージカルは「娯楽の王様」的な位置を占めているのですが。

ブロードウェイやラスベガスを例に出すまでもなく、日本でも。

最も商業的に成功している演劇集団は、かの劇団四季である訳だし。





でも、それはエンターテイメントとしての価値であって、

文化とか芸術とか、物語を伝える媒体としての有為さとは

違うんじゃなかろーか。





例えるなら、「CATS」を観るためお金を出すのと、

ディズニーランドでミッキーと握手したいがために入場料を払うのとでは

その人の心持ちに大きな差異はないのではないかと。





いや別にミュージカルを卑下するつもりはないですけど。

ただ劇団四季に限って言うなら、もっとクールに接するのが適当だと思う。

浅利慶太と聞くと、あの陳腐としか形容しようのない長野五輪の開会式を

思い起こさずにはいられないんですよ。私は。



それに比べると閉会式の欽ちゃんは極限的にベタで笑えた。ある意味、世界レベル。




ところで、日本で撮るならセルマは誰ですか。

歌って踊れて、かつ演じると完全に役に入り込んじゃって

見る者の心を鷲掴みにするような魔力を持つ女優さん、いませんかー。





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・・・こん中にゃいねぇよ。